時短勤務のモヤモヤ、一人で抱えていませんか?社労士が教える悩み解消のヒント

コラム

育児のために時短勤務を選んだものの、「仕事量は変わらないのに時間だけが短くなった」「評価が下がっているような気がする」「雑務ばかり回ってくる」「職場で肩身が狭い」――こんな悩みを抱えていませんか?

時短勤務は法律で定められた大切な権利です。でも実際には、制度を使いながらも心の中でモヤモヤを抱えている方がたくさんいらっしゃいます。今回は、子育て世代の働き方を専門にしている社会保険労務士として、時短勤務ならではの悩みに対するアドバイスをお伝えします。

まず知っておきたい!時短勤務はあなたの「権利」です

育児・介護休業法では、3歳未満のお子さんを育てている従業員が希望すれば、1日6時間を原則とする短時間勤務制度を利用できると定められています。配偶者が専業主婦(夫)であっても関係なく、あなたには制度を利用する権利があります。

さらに、「育児時短就業給付」という新しい制度もスタートしています。
2歳未満のお子さんを育てながら時短勤務をしている方に、時短勤務中の賃金の10%相当が雇用保険から給付されるようになりました。これは国が、育児と仕事の両立を応援している証でもあるんです。
参考:厚生労働省|「育児時短就業給付金」を創設しました

時短勤務の「よくある悩み」と解決のヒント

ここからは、時短勤務に関するよくあるお悩みについて、対応のポイントをいくつかご紹介します。

悩み1:時短なのに仕事量が変わらない…どうすればいい?

「時短になったのに、やることは減っていない」これは時短勤務の方から最も多く聞く悩みです。仕事がどんどん溜まってしまい慌てて帰ることになったり、残った仕事を毎日のように同僚に引き継がないといけない――など、想像するだけで申し訳ない気持ちになりますよね。
また、責任感で一人で抱え込みすぎると後々周りに負担をかけてしまう場合もあります。

💡まずできること

  1. 業務の棚卸しをしましょう
    現在抱えている業務をすべて書き出して、「自分じゃないとできない仕事」「他の人でもできる仕事」「今すぐ必要な仕事」に分類してみてください。業務を可視化するだけでも効率が上がったり、意外と「以前からの流れで担当しているだけ」という業務が見つかるこもしれません。
    ※業務の棚卸しに使えるシート(無料)を公開しています。ぜひご活用下さい!
    ▶︎業務の棚卸しシート
  2. 上司との面談を申し込む
    時短勤務制度の利用者の前例が少なかったりする場合、仕事量の調整が必要という点に上司が気が付いていないというケースもあります。
    「時短勤務でも頑張りたい気持ちはあります。ただ、現在の業務量では時間内に終わらせることが難しく、周囲にも負担をかけてしまっています。業務の優先順位や分担について相談させていただけませんか?」と、前向きな姿勢で相談してみましょう。
  3. 効率化を意識する
    例えば、メールの返信内容などはAIを活用して作成したり、会議の時間短縮や資料の簡素化など、チーム全体の業務効率化にもつながる提案をすることもおすすめです。
    業務効率化に「時短の人が貢献してくれた」というケースもよく耳にします。

悩み2:評価が下がっているような気がする…これって仕方ないの?

「頑張っているのに評価されない」これは本当に辛いですよね。時短勤務を選んだことで、キャリアを諦めなければいけないのでしょうか?

📖知っておいてほしい法律のこと

育児・介護休業法では、時短勤務を申し出たことや利用したことを理由に、解雇、降格、減給などの不利益な取扱いをすることは禁止されています。給与が労働時間に応じて減額されることは「ノーワーク・ノーペイの原則」で問題ありませんが、短縮された時間を超えて不当に評価を下げることは違法です。

💡評価面談でできること

まずは会社の就業規則や人事評価基準を確認してみましょう。記載されている内容と照らし合わせて、やっぱり評価に納得がいかないなど違和感があれば、評価面談の際などに上司ときちんとコミュニケーションをとることも効果的です。

  1. 就業規則・評価基準を確認する
    会社の評価制度では、何が評価されるのか(成果?プロセス?勤務態度?)を明確に確認しましょう。もし「労働時間の長さ」だけで評価されているなら、それは見直しが必要な評価制度かもしれません。
  2. 具体的な成果を言語化する
    限られた時間の中で達成した成果や工夫した点を、数字や具体例を交えて伝えましょう。「6時間の中で〇〇の業務を完了させました」「△△の効率化により、チーム全体で月□時間の削減につながりました」など。
  3. 将来のキャリアプランを伝える
    「今は時短勤務ですが、〇歳になったらフルタイムに戻ることも考えています」「この分野でスキルを磨いていきたいです」など、前向きな姿勢を示すことも大切です。

悩み3:雑務ばかり回ってくる…やりがいのある仕事がしたい

責任ある仕事から外され、補助的な業務ばかりになってしまった――これは「マミートラック」と呼ばれる問題です。会社側は「配慮」のつもりかもしれませんが、あなたにとっては能力を活かせない辛い状況ですよね。

💡行動のヒント

  1. 自分の希望を明確に伝える
    「時短でも責任ある仕事を任せていただきたい」という希望を伝えるのは、本当に勇気がいることですよね。でも、黙っていては何も変わりません。伝え方のポイントを押さえれば、きっと前向きに受け止めてもらえるはずです。

伝える際に気をつけたいポイント:

  • タイミングを選ぶ: 上司が忙しそうな時や、締め切り直前は避けましょう。「担当業務について相談したいことがあります。少しお時間いただけませんか?」と事前にアポイントを取るのがベターです。
  • 感謝から始める: 時短勤務はあなたの権利ですが、周りの理解が必要という点も事実です。まずは現状への感謝を伝えてから、希望を話すと受け入れられやすくなります。
  • 「できる理由」をセットで伝える: 「〇〇のプロジェクトに関わりたいです。△△の業務での経験が活かせると思いますし、時間内で完結できるよう□□の工夫をします」というように、「やりたい」だけでなく「できる根拠」も一緒に伝えましょう。
  • 否定的な言葉は避ける: 「雑務ばかりで面白くない」ではなく、「もっとチームに貢献したい」「自分の強みを活かしたい」と前向きな表現で伝えることも、周囲との円滑なコミュニケーションにつながります。
  • 小さな一歩から提案する: いきなり大きなプロジェクトは難しいかもしれません。「まずは〇〇の部分だけでも担当させていただけませんか?」と段階的な提案をするのも効果的です。

例:「いつもご配慮いただきありがとうございます。時短勤務にも慣れてきたので、できればもう少しチームに貢献したいと思っています。例えば、〇〇のプロジェクトの△△の部分に関わらせていただくことは可能でしょうか?□□での経験があり、時短の時間内でも対応できる範囲だと考えています。」

  1. 小さな実績を積み重ねる
    最初から大きな仕事は難しいかもしれません。今任されている業務を確実にこなし、プラスアルファの提案をするなど、「この人に任せたい」と思ってもらえる実績を作っていきましょう。
  2. スキルアップの姿勢を見せる
    研修を受講したり、業務に関連する資格取得を目指すなど、成長意欲を行動で示すことも効果的です。

悩み4:職場で肩身が狭い…この気持ちどうすればいい?

「早く帰って申し訳ない」「子どもの急な発熱で頻繁に休んでしまう」――そんな時、周囲の目が気になって、職場にいることが辛くなることもありますよね。

💡心を軽くするための考え方

  1. 「権利」であることを再確認する
    時短勤務は法律で認められた権利です。必要以上に申し訳なく思う必要はありません。ただし、権利を使いながらも、感謝の気持ちを伝えることは大切です。
  2. できることで貢献する
    時間内でできる業務をきっちりこなす、引き継ぎをわかりやすくする、チームのために情報共有を丁寧にするなど、「あなたがいてくれて助かる」と思ってもらえる行動を心がけましょう。
  3. コミュニケーションを大切に
    どんなに感謝の気持ちを持っていても、表現しなければ意外と相手には伝わりません。「いつもありがとうございます」という感謝の言葉も忘れずに。また、朝の挨拶や、ちょっとした雑談も、職場での居心地を良くする大切な要素です。
  4. 同じ立場の仲間を見つける
    社内外で、同じように時短勤務をしている方とつながることで、悩みを共有したり、工夫を学んだりできます。一人じゃないと思えるだけで、心が軽くなることもあります。
  5. 実は会社に貢献している
    会社にとって、何十年と事業を続けていくためには「多様性」を受け入れることがとても大事な要素でもあります。多様性への理解は、すぐには難しい部分もありますが、あなたが日々誠実に「時短勤務」という立場で仕事をすることで、会社の強い風土づくりに貢献しているということを忘れないでください。

それでも辛いときは、専門家に相談を

もし、以下のような状況があれば、それは相談すべきサインかもしれません:

  • 明らかに不当な評価や降格を受けていて改善されない
  • 時短勤務を理由に嫌がらせを受けている
  • 業務量の調整について何度相談しても改善されない
  • 心身の不調を感じている

そんなときは、一人で抱え込まず、労働局の相談窓口を利用したり、専門家へ相談をしてください。あなたの権利を守り、より良い働き方を実現するためのサポートができます。

まとめ:時短勤務は「制約」ではなく「選択肢」

時短勤務を選んだあなたは、育児と仕事の両立という大きなチャレンジをしています。それは決して後ろめたいことではなく、むしろ誇るべきことです。

限られた時間の中で成果を出す経験は、時間管理能力や優先順位をつける力を磨きます。将来フルタイムに戻ったとき、この経験は必ずあなたの強みになるはずです。

今は大変な時期かもしれませんが、お子さんもあなた自身も、この時期にしかない貴重な時間を過ごしています。時短勤務という選択肢を上手に活用しながら、自分らしい働き方を見つけていってくださいね。


困ったときは一人で悩まないで

育児中の働き方、時短勤務の悩み、職場でのモヤモヤ――どんな小さなことでも、お気軽にご相談ください。子育て世代の働き方を専門にしている社会保険労務士が、あなたに寄り添ったアドバイスをいたします。

※本記事の内容は、2025年11月時点の法令に基づいています。

コメント