2026年社会保険料はどうなる?子ども・子育て支援金の内容とは?【社労士が解説】

コラム

手取りが増えない!と多くの人を悩ませている「社会保険料」問題。

毎月の社会保険料負担は家計に直結する大きな問題です。2025年は、一部の保険料率が引き下げられる一方で、2026年度からは新たに「子ども・子育て支援金」の徴収も始まります。

この記事では、2025年〜2026年の社会保険料の変更内容と、新しくスタートする「子ども・子育て支援金とは?」という疑問をわかりやすく解説します。


【第1章】2025年の社会保険料、実は「微減」の人も!

社会保険料って何があるの?

まず、企業に雇用されている方に関係のある「社会保険料」は主に5つあります。

📌 ①健康保険料
📌 ②介護保険料(40歳以上の方のみ)
📌 ③雇用保険料
📌 厚生年金保険料(保険料率は固定)
📌 ⑤労災保険料(会社負担のみ)

この中で、給与から天引きされているものが①〜④です。また、①~③は毎年度ごとに保険料率が改訂されます。
では、2025年度の社会保険料率はどうなったのか、ひとつずつ解説していきます!

2025年3月からの変更内容

実は、2025年3月分(4月納付分)から、いくつかの保険料率が微減(かなり微です)しました。

【2025年の変更まとめ】

健康保険料率(協会けんぽの場合)

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、都道府県によって保険料率が異なります。2025年度は大分県を除く46都道府県で変更がありました。

  • 東京都:10.00%→9.91%に0.09%引き下げ
  • 大阪府:10.29%→10.24%に0.05%引き下げ
  • 北海道:10.29%→10.45%に0.16%引き上げ
  • 全国平均:10.00%で据え置き

引き下げになったのは18都府県、引き上げになったのは28道県でした。お住まいの都道府県の保険料率は、協会けんぽのホームページで確認できます。
健康保険組合では、各健康保険組合ごとに保険料率を定めていますが、2025年度の健康保険組合の平均保険料率は過去最高の9.34%となりました。

介護保険料率(40歳〜64歳)

全国一律で1.60%→1.59%に0.01%引き下げとなりました。40歳以上の方にとっては、ほんのわずかですが負担減です!

雇用保険料率

2025年4月1日から、8年ぶりに雇用保険料率が引き下げられました!

  • 一般の事業: 労働者負担0.6%→0.55%に0.05%引き下げ
  • 農林水産・清酒製造の事業: 労働者負担0.7%→0.65%に引き下げ
  • 建設の事業: 労働者負担0.7%→0.65%に引き下げ

新型コロナ禍で積立金が減少したため、2022年・2023年と連続して引き上げられていた雇用保険料率ですが、雇用環境の改善により、ようやく引き下げとなりました。

具体的にいくら減るの?

例: 月収30万円の会社員(協会けんぽ加入・東京都・40歳未満・一般の事業)の場合

  • 健康保険料: 約15,000円→約14,865円(▲135円)
  • 雇用保険料: 約1,800円→約1,650円(▲150円)
  • 合計で月約285円の減額

40歳以上の方は、これに介護保険料の引き下げ分も加わります。

  • 介護保険料: 約2,400円→約2,385円(▲15円)
  • 合計で月約300円の減額

月々で見ると微々たる金額ですが、2025年度は社会保険料率が減った方が多い年となりました。


【第2章】2026年度から「子ども・子育て支援金」が始まる

「子ども・子育て支援金」って何?

2024年6月に「改正子ども・子育て支援法」が成立し、2026年度(2026年4月)から新しい負担が始まります。

【ポイント】

  • 少子化対策の財源として、医療保険料に上乗せして徴収されます
  • 子どもがいる・いないに関係なく、全員が負担します
  • 会社員は会社と折半(労使折半)します

なぜ新しい負担が必要なの?

政府が進める「こども未来戦略」の加速化プランを実行するため、年間約3.6兆円の予算が必要です。そのうち約1兆円を「支援金」で賄う計画となっています。

少子化は日本全体の課題であり、子どもがいない世帯も含めて、社会全体で子育て世帯を支える仕組みを作ることが目的です。

具体的にいくら負担するの?

こども家庭庁の試算によると、以下のような負担額になります。

【加入者1人あたりの平均負担額(月額)】

年度 全制度平均
2026年度 250円
2027年度 300円
2028年度(満額時) 450円

ただし、これは子どもも含めた全加入者の平均です。実際に保険料を支払う「被保険者」(働いている人)で見ると、もう少し負担額が大きくなります。

【被保険者1人あたりの負担額(月額・2028年度満額時)】

  • 協会けんぽ(中小企業の会社員): 約450円
  • 健康保険組合(大企業の会社員): 約550円
  • 共済組合(公務員): 約650円
  • 国民健康保険(自営業): 約600円
  • 後期高齢者医療制度(75歳以上): 約400円

※会社員・公務員は労使折半なので、会社も同額負担します

年収別の負担額シミュレーション

こども家庭庁が公表している年収別の試算(2028年度満額時点)を見てみましょう。

【会社員・公務員の場合】

年収 月額負担 年間負担
200万円 約350円 約4,200円
400万円 約650円 約7,800円
600万円 約1,000円 約12,000円
800万円 約1,350円 約16,200円
1,000万円 約1,650円 約19,800円

【国民健康保険(自営業)の場合】

年収 月額負担 年間負担
400万円 約500円 約6,000円
800万円 約1,100円 約13,200円
1,200万円 約1,600円 約19,200円

具体例: 夫婦共働き、夫の年収600万円、妻の年収400万円の場合

→ 夫1,000円+妻650円=月1,650円(年間約2万円)の世帯負担増


【第3章】「実質負担ゼロ」って本当?政府の説明を検証

政府の主張

政府(こども家庭庁)は「実質的な負担は生じない」と説明しています。

その理由は以下の2つです。

  1. 賃上げによる効果
  2. 歳出改革による社会保障負担軽減効果

これらによって社会保障負担率の上昇を抑え、その範囲内で支援金を構築するから「実質ゼロ」だというのが政府の説明です。

現実には…?

賃上げによる効果に関しては、大企業では賃上げも進んでいますが、中小企業ではまだ十分に追いついていないケースも多く、特にパート・アルバイトの方では実感しにくいのが現実です。
また、歳出改革で社会保障負担を軽減するという説明に関しては、具体的には高齢者にかかる医療・介護費用の抑制等を掲げていますが、実際どのような数値になるのかは未だ不明です。

したがって、「実質負担ゼロ」という理論であっても、「毎月の給与明細を見ると、確実に社会保険料の天引き額が増えている」という状況となります。

ただし、子育て世帯にとっては、給付の拡充もあるため、トータルで見るとプラスになる可能性もあります。次の章で詳しく見ていきましょう。


【第4章】子育て世帯への恩恵は?支援金で何が変わる?

子ども子育て支援金が一つの財源となっている「子ども未来戦略」には、様々な子育て世帯向けの支援があります。ここでは、子育て世帯に向けた給付や支援をいくつかご紹介します。

児童手当の大幅拡充(2024年10月〜)

すでに始まっている児童手当の拡充は、子育て世帯にとって大きなメリットがあります。

所得制限が撤廃 → 高所得世帯も対象に
支給期間が延長 → 高校生まで
第3子以降は月3万円に増額

例: 子ども3人(高校生、中学生、小学生)の場合

  • 改正前: 月2.5万円(中学生1万円+小学生1.5万円)
  • 改正後: 月5万円(高校生1万円+中学生1万円+小学生3万円)

 →この家庭では、年間30万円の増額となります。

出生後休業支援給付(2025年4月〜)

両親がともに(一定条件下では本人のみでも)14日以上育休を取得すると、最初の28日間について手取り10割相当の給付が受けられます。

この新しい給付により、産後すぐ夫婦で育休を取得する際の経済的不安が軽減されます。

育児時短就業給付(2025年4月〜)

仕事と育児の両立支援として、時短勤務制度を選択しやすくすることを目的に「育児時短就業給付」がスタートしています。
2歳に満たない子を養育するために時短勤務をした場合に、育児時短就業前と比較して賃金が低下するなどの要件を満たすときに時短勤務時の賃金の10%を支給する給付金です。

子どもが小さいうちに時短勤務を選択しやすくなり、持続可能なキャリアを形成しやすいというメリットも。

妊婦のための支援給付(2025年4月~)

旧制度の出産・子育て応援給付金が、新たに「妊婦のための支援給付金」としてスタートしています。妊娠期間に特化した経済的支援です。
妊娠を届け出ることで5万円、出産予定日の8週間前の日以降に再び申請することで5万円の給付を受けられるもので、旧制度に比べ支給対象者が拡充されました。

こども誰でも通園制度(2026年度〜全国実施)

保護者の就労に関係なく、0歳6ヶ月〜3歳未満の子どもが月10時間まで保育所を利用可能になります。

「リフレッシュのために一時保育を使いたいけど、働いていないから使えない…」という悩みが解消されます。

こども家庭庁の試算: 子ども1人あたり146万円増

こども家庭庁の試算によると、こうした給付などの拡充により、子ども1人あたり高校生までに受けられる給付等の合計が、平均約146万円増える見込みです。

だから…

  • 子育て世帯: 支援金を払っても、給付増でトータルでプラス
  • 子どもがいない世帯: 純粋な負担増

という構図になっています。


【第7章】よくある質問Q&A

Q1: 支援金は子どもがいない人も払うの?

A: はい、全世代・全員が対象です。

これは「全世代で子育て世帯を支える」という理念に基づいています。少子化は日本全体の課題であり、将来の社会保障制度を維持するためにも、社会全体で子育て世帯を支援する必要があるという考え方です。

Q2: 扶養に入っている専業主婦(夫)も払うの?

A: いいえ、扶養に入っている配偶者は負担しません。

扶養に入っている配偶者は、自分の保険料負担がないため、支援金も負担しません。支援金は医療保険料に上乗せされるため、保険料を支払っている「被保険者」のみが対象です。

Q3: 2025年の社会保険料減額と2026年の支援金、結局プラス?マイナス?

A: トータルでは負担増です。

  • 2025年の減額効果: 月200〜300円程度
  • 2026年からの支援金: 月250円〜(段階的に増加し、2028年には月450円〜1,000円程度)

ただし、子育て世帯は児童手当等の給付増があるため、長期的にはプラスになる可能性が高いです。


まとめ

2025年〜2026年の社会保険料変更について、重要なポイントをおさらいしましょう。

覚えておきたい5つのポイント:

2025年は微減だが実感しにくい
→ 健康保険料、介護保険料、雇用保険料が微減。月200〜300円程度の減額

2026年度から「子ども・子育て支援金」の徴収がスタート
→ 年収600万円なら月1,000円(2028年度満額時)の負担増

子育て世帯は給付増で長期的にプラス
→ 児童手当拡充等で、子ども1人あたり高校生までの合計で平均146万円増

子どもがいない世帯は純粋な負担増
→ 家計の見直しと資産形成で対応を

今からできる対策を始めよう
→ 固定費削減、iDeCo/NISA活用など

社会保険料の負担増は避けられませんが、その分どんな給付を受けられるのか、自分の家計にどう影響するのかを知ることが大切です。

支援金制度は、全世代で子育て世帯を支えるという新しい取り組みです。賛否両論はありますが、少子化という日本の大きな課題に向き合うための一歩として、制度の行方を見守りましょう。

この記事が、あなたの家計プランニングの参考になれば嬉しいです!


参考資料

公的機関の資料:

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